[展示]Inside Other Spaces《異なる空間の中へ:女性作家たちの共感覚的環境1956-1976》

展示概要


梨泰院エリアに位置するリウム美術館にて2026年5月5日から11月29日にかけて開催されている没入型の特別展《異なる空間の中へ:女性作家たちの共感覚的環境1956-1976》。

「インスタレーション」や「空間芸術」などの現在では主流になっている芸術概念がまだ確立されていなかった時代に、「環境」芸術(ambiente)を行った女性作家たちがいました。今回の展示は、これらの埋もれた歴史を掘り起こし、復元し、世代を超えた展示として観客に体験させてくれる企画です。

ドイツ、イタリア、香港の現代美術館を巡回し、韓国リウム美術館へとつながるこの展示は、リウム美術館においては最長の会期となる約6ヶ月間にわたる特別展です。

後援のボッデガヴェネタにより5月4日に行われたオープニングイベントに女優の宮沢りえさん、イ・ナヨンさん、Stray Kidsのアイエンさん、MEOVVのスインさんなどが登壇したことにより、会期前から話題となっているようです。話題性、SNS映えも間違いないこの展示、期間中ソウルを訪れる機会がある方は、ぜひ訪れてみてください。

(11作品のうちほとんどの展示についてスタッフさんによる入場、待機案内があります。基本的に英語および韓国語のみで行われますので、不安な方は以下の展示説明を参考にしてください。)

開催地と期間


リウム美術館(리움미술관) 【梨泰院エリア】
2026年5月5日〜11月29日
展示室:ブラックボックス(入り口真横の通路より入場)、グラウンドギャラリー(庭園)

鑑賞所要時間:最短:45分/推奨:1時間40分(訪問が土日祝日の場合は展示ごとに多少の待ち時間が発生する場合がありますので、時間に余裕を持って観覧することをお勧めします。)

時間・料金


開館日と観覧時間

 月   x
 火   o10:00-18:00
 水   o10:00-18:00
 木   o10:00-18:00
 金   o10:00-18:00
 土   o10:00-18:00
 日   o10:00-18:00
 祝日  o10:00-18:00
(17:30入場締め切り)
※1月1日、旧正月、中秋節当日は閉館

観覧料

 ◯《Inside Other Spaces》単独券 
25歳~64歳(大人) : 18,000ウォン
19~24歳(青年) : 9,000ウォン
7~18歳(青少年) :9,000ウォン
未就学児:無料
65歳以上(シニア):9,000円

◯総合券
25歳~64歳(大人) : 25,000ウォン
19~24歳(青年) : 13,000ウォン
7~18歳(青少年) :13,000ウォン
未就学児:無料
65歳以上(シニア):13,000円

 (毎月最後の水曜日「文化のある日」は大人通常金額から50%オフの価格になります。)

アクセス


 ◯地下鉄
  6号線 ハンガンジン(한강진/漢江鎮)駅 1番出口から徒歩8分

フロア


<ドリームハウス>はM2(6月28日まではティノ・セーガル展の会場)の2階に位置しています。階段では上がれないようになっていますので、必ずエレベーターをご利用ください。
※展示の性質上、位置のシークレット性を重視していると判断した場合、この情報を消去する場合があります。ご了承ください。

作品ガイド


1
山崎つる子 日本
<赤(빨강/Red)>1985

[案内員]なし。足元からくぐり、中に入って鑑賞できます。

山崎ら(アバンギャルド美術集団「具体」)が1956年に兵庫県の芦屋で開催した<第2回野外具体美術展>において展示されていた作品を復元。正六面体の骨組みに赤いビニールが被せられた構造で、地面から70cmほど離れて吊るされているのが特徴です。実は元々は中に入って見ることを想定して作ったわけではなかったとのことですが、当時公園での展示で子どもたちが自然に入っていったことが今の展示形態につながっているそうです。外から眺め、中に入って感じる、両方を楽しみたい作品です。

2

ジョン・ガンジャ(정강자/Jung Kangja) 韓国
<無体展(무체전/Incorporeal Exhibition)>1970

[案内員]「1回あたりの入室定員が8名以内ですので、入室ご希望でしたらこちらで待機お願いします。」(待ち時間や人数によって、ブラックボックス入り口すぐ右手にある階段部分に腰掛けて待つよう促される場合もあります。)
「光や煙の演出がありますので、刺激に弱い方は観覧をお控えください。それでは入場ご案内します。」
(退場の際は案内員さんが外からカーテンを開けてくれます。)

1960年~70年という軍事政権下の激動の時代に、「新展」「第4集団」などの前衛美術集団において活動したジョン・ガンジャの空間作品。暗幕で囲われた空間の中に観客が入り、サイレン、煙、光の演出と「みなさんは、今、私の作品の中に、入っています。」というアナウンスで緊張感を誘うこの作品は、これが展示された1970年の社会の空気感を私たちに体験させてくれます。当時は政府に”政治的煽動である”と見做され、パフォーマンス等の予定を遂げることなく強制撤去となったこの作品を、資料等をもとに再現したものがこの作品です。

3

リジア・クラーク(Lygia Clark) ブラジル
<家すなわち身体 : 浸透、排卵、発芽、排出
(집은 곧 몸: 침투, 배란, 발아, 배출/A casa é o corpo. Penetração, ovulação, germinação, expulsão)>
1968


[案内員]「1組ずつの入場ですので少々お待ちください。」
「靴を脱いで入場なさってください。ここに靴を置いて行かれても構いませんし、出口が反対側ですのでそちら(右手かご内)の靴袋に入れて持って入っても構いません。」
「中が大変暗くなっていますので、気をつけてゆっくり進んでください。」
(最終段階、出口付近の真っ暗になったパートで外からスタッフさんが声をかけてくれます。暗闇なので突然の声に驚きますが、退場方法の案内です。)
「回転扉を時計回りに回して出てきてください。

1959年にネオ・コンクレティズム /新具体主義(当時ブラジルにおいて機械・数学的、無機質さを推し進めたコンクレティズム/具体主義から離れ、身体性をもたせた作品などを制作)を推し進めたリジア・クラークは、鑑賞者が直接触れて変形できる彫刻作品などを中心に製作をしてきた作家です。
クラークの唯一の”環境”作品として今回展示されているこの作品は、生命の誕生の過程を母体の子宮に見立てた家の設計で受精から誕生までの過程を再度体験させる構造になっています。環境芸術を”体内”の領域へと拡大したという観点で、非常に意味のある作品です。

4

マルタ・ミヌヒン(Marta Minujín) アルゼンチン
<転がって生きよう!(뒹굴고 살아라!/¡Revuelquese y viva!)>1964

[案内員]「靴を脱いでお入りください」(特別な注意なし)

本でパルテノン神殿を再現する<本のパルテノン>やネオンを用いたインスタレーション作品<ラ・メネスンダ(La Menesunda/騒乱)>など、ハプニング、風刺的な作品を手がけるコンセプト・パフォーマンスアーティスト、マルタ・ミヌヒンによるソフト・スカルプチュア作品。マットレスクッションを作家が直接手縫いで切り貼りして製作されています。
靴を脱いで中に鑑賞者が入ると、構造全体が揺れる作りになっています。中ではラウドスピーカーによってサウンドが流れており、中に入った者が「愛し、眠り、夢見ることができる」空間が作られています。作家が”人生の半分はマットレスの上で成る”ということに着目してつくられた作品とのことです。

5

ジュディ・シカゴ(Judy Chicago)アメリカ
<羽毛の部屋(깃털의 방/Feather Room)>1965年

[案内員]「当展示は大量の羽毛が使用されている展示ですので、退出時に服や靴に付着した羽毛を落としてから出ていただきますようお願いいたします。」
(出入り口に粘着ローラー、エアブローガンなどが設置されています。)

アメリカのフェミニスト美術運動の第一人者でもあるジュディ・シカゴが、ロイド・ハムロール(配偶者)、エリック・オア(インスタレーション作家)とともに制作した空間作品。角を丸くとったプラスチックの壁面でできた真っ白な部屋に、軽く雲のようなダチョウの羽毛136kgが敷き詰められています。境界や重力を曖昧にする柔らかい曲線的なこの作品は、固く直線的な男性中心の建築への批判をもって当時作られました。

6

タニア・ムロー(Tania Mouraud) フランス
<あの時私たちは知っていた(한때 우리는 알았다/ We used to know)>
1970年

[案内員]「このまま入場いただけますが、部屋の中の温度が高くなっていますのでご注意ください。」「中心の構造は高温ですので、手を触れないでください。」

タニア・ムローは、絵画だけにとどまらず、メディアや音などを用いてアートと社会の関係について追求してきた作家です。作品も、公的な領域と私的な領域の関係性に焦点を当てたものです。部屋の中に入ると、スタンドライトが中心に聳える黒いステンレススチールの構造を照らし、同時に鑑賞者も重い音響、熱、光に晒されます。これは触れてはいけない、近づきがたい「禁忌(タブー)」として聖域化された女性の空間を、知覚で表現した環境です。

7

ナンダ・ヴィーゴ(Nanda Vigo) イタリア
<居住可能な時間環境(거주 가능한 시간 환경 / Ambiente cronotopico vivibile)>
1967年

[案内員]案内なし(土足で入れます)。
(※オープン翌日の情報ですが、操作ボタンの横にスタッフが一応配置されており、靴袋のBOXもありましたので、本来の担当者・オペレーションではなかった可能性があります。)

スチールミラーにネオンの光が反射し、無限に空間が広がっていくようにも見える六面体に、鑑賞者が直接入ることができる作品です。ナンダ・ヴィーゴは、イタリアの前衛美術活動「ZERO」に属し、光と空間を中心とした制作を行なってきました。「cronos(時間)」と「topos(場所)」の合成語、という概念を作り進化させ、この作品では鑑賞者が作品の中を移動し、視点を変えることで(反射によって)空間自体が変形し、スイッチの操作によって光の色を変えることでまた空間自体が変形するという体験を「環境」のなかに表現しています。

8

アレクサンドラ・カスバ(Aleksandra Kasuba) アメリカ
〈スペクトラム通路(스펙트럼 통로/Spectral Passage)〉1975年

[案内員]「そのまま入っていただけます。」
(注意事項なし、人数によっては待機あり。)

角をつくらない布でできた大規模な環境作品で知られるアレクサンドラ・カスバが、サンフランシスコのデ・ヤング美術館における《ザ・レインボーショー》(文化・芸術・神話における「虹」の象徴性に焦点を当てた企画)のために制作した作品です。
チューブのように連なった6色のナイロン布、ネオンで作られた6つの構造を鑑賞者が通り抜けて体験する「環境」です。人間の誕生→死→再生を表現し、中ではグスタフ・ホルストの<惑星(The Planets) Op.32-1>が流れています。鑑賞者が、誕生、活力、知恵、再生、啓蒙、霊性、復活などの要素について思索しながら通り抜けていくよう構成されています。